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 ◆ 有間の来た日 ◆


「めずらしい」
 私がその少年を見た最初の感想がそれだった。
『可愛い』などの外見的印象や、『やさしそう』のような精神的印象よりも、変わり者の
弟が家に誰かを連れてくる事の方に驚いたものだ。

「愚弟にも家に連れてくる友達ができたか」
 と喜ぶより、
「この愚弟に連れられて家に来た奴はどんな馬鹿者か」
 と、奇異の目を向けてしまったほどだ。

 しかし、私の意に反して、
「こんにちは」
 と、挨拶してきた少年は、私の想像からかけ離れた存在だった。
 一見して育ちのよさそうな身なりをしていたし、眼鏡の奥の子供には不釣合いな程しっか
りした眼は、真面目そうな印象をかもし出していた。

 肩を捕らえて、じゃれあいながら名前を聞くと、
「有間志貴です」
 と、答えた。

 愚弟と身長は大差ないのに、捕らえた肩はえらく華奢だった。
 あとで聞いた話だが、怪我で長期入院していたらしい。

 正直。この小奇麗な少年が、愚弟が家に連れてくる程の友達なのかと、内心だまされた
気分だった。


 そして、この愚弟とは全く正反対の様に見える少年は、よく遊びに来るようになり、
 そして、いつの間にか、有間はこの家に溶け込んでいた。

 そう。まるで家族のように……






     §          §



 窓の外を眺めながら、一服する。

 空に煙で白い模様をつけながら、目を泳がせていると、
「イチゴさん!」
 まだ癖のついてない、真新しい学ランを着た有間の奴が、向こうから手を振りながら駆け
てくる。
 もう中学生なのに、実の弟よりも弟らしく、いまだ私に擦り寄ってくる。
 この年代の男の子は、同年代の友達と遊ぶのが楽しくて、家族とは疎遠になるのだが……
 有間もまだ子供だということか。

 いつもの様に、寄って来た有間を捕らえてヘッドロックをかける。
「どうした有間。今日は早いじゃないか」
「いたい、いたいよイチゴさん」
 じたばたともがく有間。
 なかなか力もついてきたみたいだ。昔の様に簡単に動きを封じるのが難しくなってきたな。
 そんな事を思い、締め付ける力を強くする。

 しばらくもがいた有間は、しおれる様に動きを止めた。
 よく見ると、顔を耳まで真っ赤にしている。
「悪い、強く絞めすぎたか」
 とっさに手を離して顔を覗き込むが、有間が顔をそらして正面から見せない。
 どうやら技の絞めすぎでは無い様だ。
 有間の奴。どうしたんだ?

 顔の赤いまま、そっぽを向く有間を抱き寄せる。
「どーした有間。おねーさんに話してみな」

「イチゴさん……」
 ぴったりと抱きついた有間が、頬を染め潤んだ瞳で見上げてくる。

 このとき、初めて気が付いた。
 有間は私の事を『女』として見ていたのだと。
 子犬よろしく、私にまとわりついてきたのは姉弟の情ではなかったのか。
 私はいつまでも子供だと思っていたが、それは逆だったのだ。
 有間は――――早熟していたのだ。

 真っ赤になったのも、ヘッドロックから逃れ様として顔が胸に埋まったからなのか。
 顔を背けたのも、真っ赤な顔を見られるのが恥ずかしかったんだな。






「イチゴさん、イチゴさん。俺――――」
 私の名を呼びながら、抱きつく有間を見て嬉しくなる。
 ついぞ忘れてたこの感情……

 なんだ、私も有間が好きだったんじゃないか。

 胸の辺りに押し付けられた有間の頭を、そっと撫でる。
 何度も何度も。

 しばらくして、有間が落ち着いた。


 ぴくん
 足を動かした時、有間の体が反応する。

 太ももに熱い感触。

 なんだ。落ち着いたらと思ったら、そんな事考えてたのか。
 胸の隙間からのぞく有間の顔は、真っ赤になっている。

 中学生なんだ。
 こんなにも『女性』に触れることなんて無いだろう。
 だから、ココがこんなになってしまうのは当たり前か。


 落ち着いたはずの志貴の息がだんだんと荒いものに変わってゆく。
 熱い息が胸の間にこもるのがわかる。
 足に当たっている剛直も、ズボンの中で苦しそうだ。

 動かないように努めているが、それでも微かに足との摩擦で刺激され、その硬さを増す。
「ごめんなさい」
 この体勢だ。その気になれば押し倒すのは簡単だろう。
 かし、こんなになってもそれをしないのは、有間の私に対する思いやりか。
 嬉しいな。
 なんだか胸に暖かい気持ちが湧き上がる。

「いいよ。志貴」
 『有間』ではなく、名前で呼んでやる。
 志貴は切なそうな目で、私を見上げる。

「受け止めてやるから」
 そう言ってやると、志貴が自分の体を押し付けるようにしがみついてくる。
 ぎゅっ

 かあぁぁぁ――――

 志貴の火照りが移るかの様に、体の中に熱いものが生まれる。
 何かのスイッチが入ったかのような急激な変化に、自分の体なのに戸惑ってしまう。
 今まで気が付かなかった、自分の奥底にあった激情と言えばいいのか、それとも湧き上が
る想いというのか。
 それがあふれ出してどうしようもない。
「くっ……」

 胸の辺りが苦しくなる。
 いろんな事が頭の中を飛び交うが、今はこの擦り寄ってきた可愛い小動物を抱きしめたい
想いが、私を占める。
「志貴……」
 腕を回して、志貴の肩を抱きしめる。
 細く華奢だが、初めて会った時に比べ、男らしい肩。
 そして、太ももに押し付けられる、熱い塊。
 心と同じに、身体の方も成長したんだな……

 有間を抱きしめたまま、そっと両手を有間の背中からズボンの中へ手を滑り込ませる。

 下着越しの有間の肌は、男の尻とは思えないほどやわらかい。
 その感触に、たまらずもぎもぎと揉みしだく。
「きゃうん!」
 腕の中の志貴が、尻を揉まれて跳ね上がる。

 有間、今「きゃうん」って、言ったよな……
 なんか、可愛い……

 今度は有間に太ももを押し付けながら、下から持ち上げるようにして尻を揉む。
 太ももに感じる熱い塊が、押し付けられて摩擦を増す。しかも、後ろからも力だ加わり
逃れられない。

「ああぅ 一子さんっ」
 なすがままの志貴は、シャツの胸元を握って快感に耐える。

 ズボン内部を巧みに泳いで下着の中まで進入し、直に肌の弾力を感じる。
 興奮し汗ばんだ肌は、手に吸い付くようだ。

 下から尾骨まで、割れ目を指でなぞる。
「やぁぅ」
 強く揉まれた後に、やさしく触れられて。
 予想外の感覚に志貴は背を仰け反らせる。

「はぁ、はぁ」
 苦しそうに息をする志貴。
 太ももに触れた熱いのは、「もう我慢できない」と脈打っている。
 完全に身体をあずけた志貴を反転させ、背中を胸で受ける。
 半分開いた口で、荒い息をする志貴のベルトを外し、ズボンの前を開く。
 より動きやすくなったズボンの中に、今度は前から進入する。

 すでに先走って、ぬるぬるの先端を指で弄る。
「イチゴさん、そんなに触ったら……」
 涙目で訴える志貴。
 だめだ、そんな目で見るな。
 自分が、抑えられなくなる――――

 優しく包むように握っていた手に力が入る。
 さっきまでの焦らし気味の愛撫とはうって変わり、力を込めて荒々しく上下にスライド
させる。
「あっ、やっ、だめっ、激っしっ……」
 急激に変化した愛撫に、志貴は背中を丸めて悶える。
 背中を丸めて腰を引き、快感から逃れようとしているのか。
 しかし、しっかりと抱いているから、それもままならない。

「何かくる… きちゃう、あっ、あっ、やうっ、くっ――――」
 密着した志貴の背中が震えるのを、胸とおなかで感じる。
 そして、手のひらに熱くどろりとした感触。
「私の手で感じてくれたんだな」
 脱力して身体をあずけてくる志貴に、熱い息をかけながら語りかける。
「気持ちよかったか?」
 頬を朱に染めてそっぽを向く。
「イチゴさんの、いじわる。これじゃ僕だけやってもらったみたいだよ」

 ……なるほど、もう男の子だもんな。
 甘えるだけじゃ嫌か。

 でもな、志貴。
 そんなに急ぐなよ。もう少しだけお姉さんでいさせてくれ。




――――――― 了 ―――――――




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